山口輝臣– tag –
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大正四年の染料医薬品製造奨励法
1章6節355-12 1915年法律第19号「染料医薬品製造奨励法」は全9条と附則からなる。同法における染料とは、「『アニリンソルト』、『アニリン』染料、『アリザリン』染料及人造藍」のこと。アニリンはアミノベンゼンとも言われ、特有の臭気を持つ無色油状の液体。それを塩酸と反応させて得られるのがアニリンソルト(アニリン塩酸塩)。いわゆるアニリン染料の原料であり、20世紀初頭には合成染料の代表格であった。アリザリンと人造藍(インジゴ)は、それより後発の合成染料。同法は、これらを製造する国内の株式会社に対し、補助金を交付することを定めている。「世界大戦時代の貿易杜絶によつて」(355-11)とあるように、第1次世界大戦の勃発により、それまでほとんどドイツからの輸... -
更に明治に入つてから突如として生産の量を加へた
1章8節363-6 「工場統計表」に下駄の生産量が載るようになるのは大正になってからであり、正確な生産量を提示することは難しい。ここでは、参考として、「工場統計表」により、草履・足袋・靴などの生産量とあわせて示した。[山口] 下駄の生産量の増加出典:『工場統計表』各年度(経済産業省ウェブサイト「工業アーカイブスにて閲覧」)より作成 →下駄屋 -
言論の如きは音声の最も複雑にして又微妙なるものである。是が今までさういふ形式を知らなかった人々を、実質以上の動かし得たのも已むを得なかつた
1章9節365-20~366-1 音声とあることから、言論とは主として演説のことであろう。『福沢全集緒言』(1897年)や『明治事物起源』(1908年)などから、明治初期に演説という形式が出現してきたことはよく知られており、柳田は、『国語の将来』(1934年⑩)をはじめ各所で演説に言及する。演説は、聞こえのよさを主眼とした付け焼刃で、型にはまった空疎なものであり、言葉の力はないに等しいとし、座談の名人である原敬に永遠の印象をとどめた演説のないことから、「日本語そのものが、未だ我々の内に輝き燃えるものを、精確に彩色し得るまでに発達して居ない結果ではあるまいか」と考えた(「国語の管理者」1927年、㉗208-3~5)。しかしこれは「余りにも頻繁なる刺激の連続によつて、こ... -
外国の旅人は日本に来て殊に耳につくのは、樫の足駄の歯の舗道にきしむ音だと謂つた
1章9節366-9~10 グラバー邸内のコールタール舗装(1863年)、銀座煉瓦街における煉瓦舗装(1873年)、神田昌平橋のアスファルト舗装(1878年)などはあったが、日本で舗道が普及しはじめるのは20世紀前半である。1919年制定の道路法に基づく内務省令第25号「街路構造令」に「主要なる街路の路面は(…)適当なる材料を以て之を舗装すへし」と規定され、同年制定の都市計画法により街路事業が進められたこと、1923年の関東大震災後の復興事業が国と東京市の双方で実施されたこと、自動車保有台数が増加したことなどが背景にある。コンクリート舗装とアスファルト系の簡易舗装とがあり、1930年には東京市の道路総面積440万坪の55%が舗道になった。すなわち、樫の足駄の舗道にきしむ音は...
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