1章8節363-19
各人が「問題」と事情を「表白」することと、その「問題の共同」すなわち「問題」を共有することによって、改めて自分たちにとって本当に必要なものは何かを自省し判断していく可能性が生まれる。その時「前のもの」も「流行」するものとともに、なお残っていることに意味が出てくる。「前のもの」も新しい流行も含めて、生活が変わってきた歴史を知った上で、そこから「自分の境遇、風土と労作との実際に照らして」、自らにとって本当に必要かつ適切な「選択」ができると考えられているからである。
それを「真に自由なる選択」とし、前出の「単に材料と色と形とが、自由に選り好みすることを許されている」(1章7節361-5)にすぎない状況と対照的に提示しているのである。[重信]
→問題の共同、好み、単に材料と色と形とが、自由に選り好みすることを許されているといふまでである、流行、新旧雑処して残つて居たといふこと、遠慮無く望むこと又困ることを表白し得るやうになつたとしたら、生活を改良する望み