第1章第8節– category –
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真に自由なる選択
1章8節363-19 各人が「問題」と事情を「表白」することと、その「問題の共同」すなわち「問題」を共有することによって、改めて自分たちにとって本当に必要なものは何かを自省し判断していく可能性が生まれる。その時「前のもの」も「流行」するものとともに、なお残っていることに意味が出てくる。「前のもの」も新しい流行も含めて、生活が変わってきた歴史を知った上で、そこから「自分の境遇、風土と労作との実際に照らして」、自らにとって本当に必要かつ適切な「選択」ができると考えられているからである。 それを「真に自由なる選択」とし、前出の「単に材料と色と形とが、自由に選り好みすることを許されている」(1章7節361-5)にすぎない状況と対照的に提示しているのであ... -
生活を改良する望み
1章8節363-20 「真に自由なる選択」の末に目指されている「生活を改良する望み」は、『世相篇』全体が掲げている目標と重なり、最終章・第15章の「生活改善の目標」と響き合う。 第15章では、私たちが、互いにどのような問題を抱えているのか、他郷の人びととその暮らしを知るとともに、自らの暮らしをよりはっきりと自覚するという、「知る」ことを通して互いに問題を共有したもの同士が団結して「生活改善」に臨む可能性を掲げている(15章607-9~15)。 さらに、第10章第5節「商業の興味及び弊害」には、「流行」に流されない「消費」を、団結して達成する可能性について具体的に触れている次のような箇所がある。 「追々に消費生活の整理を計画する者が多くなつて、直接生産者と...