綿フランネル

1章6節355-7

フランネルとは毛織物のこと。ネルと略した。綿フランネルとは、フランネルに似せて綿糸で織った綿織物のこと。綿ネルとも言う。1870年、畠山義信(1841-1894)が、和歌山藩の兵士の被服・肌着用に、起毛した綿織物を試作したのがはじまりとされる。毛織物は当初ほとんど輸入するほかなかったが、綿フランネルは国内生産が可能だったこともあり、軍隊の制服などに採用され、需要の高まりとともに縞なども織られるようになった。日清戦後には中国や朝鮮にも盛んに輸出された。代表的な産地は和歌山県であり、紀州ネルと呼ばれる。こうした来歴のほか、創始者とされる畠山義信にはそのことで1898年に銀杯が下賜される一方で、たとえば文盛堂編集所『世界発明譚-科学の進歩』(榊原文盛堂、1914年)では、同じ和歌山の瀬戸重助と平松芳次郎が発明者とされたように、元祖争いなどもあり、逸話には事欠かなかった。[山口]

一種の中間性+モスリン