1章5節353-5
苧麻(ちょま)で織った縮織りのことで、明石産や小千谷産が有名。横糸に強い撚りをかけた右撚り(右回りに捻る)と左撚り(左回りに捻る)の糸を交互に織ったもので、温湯の中で揉んで処理すると、布が縮み生地の表面にシボと呼ばれる凹凸が現われる。越後麻布に改良を加えて完成した小千谷縮は、シボのある独特の風合いで高い評価を得て、魚沼地方を産地とする越後上布とともに1955年に国の重要無形文化財に指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産にも代表一覧に記載された(平織のものを越後上布、縮織を小千谷縮と呼ぶ)。絹の縮織りしたものが縮緬(ちりめん)で、丹後縮緬、浜縮緬(滋賀長浜)が有名。なお、第6節の「流行に対する誤解」に出てくる「唐縮緬」(356-7)は、比較的繊維の長い羊毛で撚った毛糸を平織した薄地の毛織物で、同節にも言及される「モスリン」(355-15)のこと。[岩本]